2016年9月26日月曜日

念願のオリジナルビール

念願のオリジナルビールを作ってきました!
オーシャンで扱わせてもらっているビール屋さんの〈Hyappa Brews〉
の力を借りまして、
1タンク180リットル仕込んできました。

〈Hyappa Brews〉の醸造所は蒲郡市西浦の、
オーシャンから車で15分ほどのところにあります。
辞めてしまった酒屋さんを改装して、
昔は牛乳を作るために使っていたタンク設備を改造して
三年ほど前に始動しはじめた醸造所です。

ぼくらオーシャンスタッフ勢は12時に現地集合しまして、
まずアメリカ人オーナーのクレッグとともに働く美人醸造家である
富成さんのビール講義を受けました。
麦芽の作り方、ホップの選び方、熟成による味の変化など。

いろんな麦芽を味見させてもらいました。
大麦から小麦、黒くなるまで炒ったもから炒らないものまで、
(麦芽をローストしたりするのがコーヒー豆のようです)
同じ麦でも風味がぜんぜん違います。
噛んだときに甘味、苦味が滲んでおいしいグラノラという感じです。

ぼくらの作業は麦芽を挽くところからはじまりました。
普段は業務用の電動ミルで挽くそうですけど、
この日は特別に手動のミルを出していただきました。
「機械使ったらすぐ終わっちゃうし、疲れたほうが楽しいでしょ?」
というクレッグの考えで。
日本ではまず見かけないですが、
アメリカでは家庭醸造が一般的に行われているので、
こういう手動のミルは珍しいものではないそうです。

【手動ミルで麦芽を挽く】

オリジナルビールの麦芽配合は
小麦を一割ぐらい、大麦を九割ぐらいです(数量を聞くのを忘れた)。
小麦麦芽は硬くて挽くのに力がいります。
大麦麦芽は軽くてすいすいと簡単に挽けます。

この砕いた麦芽をタンクに入れて水を張り、
かき混ぜつつ一時間か一時間半ぐらい煮ます。
ビールっぽいといえばビールっぽい、甘い匂いが室内に広がります。
これがビールの基となる麦汁です。
タンクの中を覗くと、濁った感じが味噌汁みたいです。
この味噌汁のような麦汁を濾します。
この濾され方も面白くて、
中に沈殿した麦芽自体が自然のフィルターとなって
きれいな麦汁となって出てきます。

【麦汁をかき混ぜる】

作業工程は複雑ではないものの、簡単ではありません。
温度管理や決められた時間煮沸したり、
煮ては冷ましては、材料を入れてまた煮ては冷ましてと続きます。
一、二時間待っては次の作業というように中休みがけっこうあります。
その中休みに持ってきたソーセージをBBQで焼いたり、
ヒャッパのビールを飲んだりして過ごします。

麦汁ができたら今度はホップを入れます。
ホップはドイツのマンダリナ・バーバリアという
オレンジ系の香りのものを選びました。
ホップは煮沸させている麦汁の中に三回に分けて投入しました。
最初にホップを入れて一時間、
煮沸を終える五分前に二回目。
最後に火を止めて残りのホップを入れる。
同じホップでも入れるタイミングで
引き出される苦味や香りが変化するのです。
ここまでの段階を経た液体をウォートといいます。
グリーンビアー(ホップを入れて緑ぽくなったから)ともいうそうです。

【笑顔でホップを入れる】

このあとウォートチラーという設備でウォートを20度まで下げます。
そしてようやくアルコールを作るところまできました。
通常ならここでタンクに酵母を入れて発酵というところですが、
それではオリジナルビールの甲斐がないですから、
ここで用意してきた材料を出します。

今回は容器を分けて4パターン仕込みました。
①レモングラス
②レモングラス+摘果みかん
③パクチー
④青梅黒糖蜜

【レモングラスの収穫】

【雨が降って元気になってきたパクチー】

今の季節の元気なハーブや果実を選びました。
青梅黒糖蜜は入れることで、
糖度が他と比べて高くなるのでしっかりしたボディー、
アルコール度数も高めになるかもしれません。
他のフレッシュハーブ類はどんな特徴が現れるのかぼくにはまだ想像できません。
クレッグも富成さんも「まあいいんじゃない」とはいうんですけど。
フレッシュパクチーをたくさん入れたビールが
飲めるものになるのかどうか心配になります。
摘果みかんのせいで酸っぱくなりすぎたらどうしよう。
できあがりを待つしかありません。

【ウォートを注ぐ】

タンクにこれらのハーブや果実を入れた中にウォートを流し込み、
最後に酵母を入れます。
酵母にもいろんな種類があるそうで、
もうどんな掛け合わせでどうなるのかというのがさっぱりイメージできません。
もう任せますという感じで、
レモングラスやパクチーのほうには胡椒のピリッとした味の出る酵母を、
青梅黒糖蜜のほうにはこの味自体を邪魔しない酵母を選んでくれました。

20度に設定した貯蔵庫の中で十日ほど発酵させたらアルコールができます。
そのあと樽詰めにして砂糖を入れて炭酸を作ります。
計一ヶ月で飲めるところまでいきます。
ものによっては熟成させるとより一層美味しくなるということです。

十月の終わり頃にビール完成パーティーなどできたらと思ってます。
そのときはぜひ飲みに来てください!

2016年9月6日火曜日

動揺してますか?

みなさんは動揺したとき、
何か良い対処法を持ってますか?

人が一日にどれだけの回数、
どれだけの重さで動揺するのか分かりませんけど、
自分の動揺レベルを解析すると
「回数は多く、中身は軽い」といった感じだと思ってます。

たとえばぼくがどんなことで動揺するかというと、
一言で、対人関係につきます。

ぼくはピザ職人でサービス業ですから
毎日色んなお客さんとも接するし、
十人ほどのスタッフとも接します。
で、動揺するときはどんなときかと考えると、
人と接しているときには動揺はないんですよね。

人との会話などで触れ合った後、
思い返すときに想像の世界の中で動揺しているんです。

自分の振る舞いは正しかったのか?
自分の言い方で誤解を与えてしまったんじゃないか?
面白いと思って言ったけど失礼だったかな?
などなど、過去の自分を振り返って動揺します。

動揺するとどうなるか。
ぼくは独り言を連発してしまう。
「しまった」
「やっぱりな」
「ああーくそー」
「なんでだ、なんでなんだ」
というような単語を
皿洗いやピザ生地を丸めるときみたいな単純作業をするときに、
ブツブツ無意識に口に出してしまうんです。

一応、独り言は無意識に選び抜かれてこれらのものになっています。
周りの人が見てあいつは狂ってると思われないように、
今の作業に当てはめてもおかしくないような抽象的な言葉です。
だから周りのスタッフが「どうかしました?」と声をかけてくれても、
ぼくは「いや、今日の生地が思ったよりも硬くて」とか
「この皿にこびりついたチーズがさー」みたいに誤魔化しています。

実はその二、三時間前のミーティングで自分が怒りに任せて暴言を吐いたり、
二、三ヶ月前に来てくれたお客さんに対して
「もっと違う接客をすれば良かった」ということや、
二、三年前に静かな店内で何枚も重ねた皿やグラス類をぶちまけて、
衝撃的な音を響かせてしまったことなど、
けっこう過去まで遡って動揺してるんです。

は!
今また無意識に「しまったなー」と言ってしまいました。
ぼーとした一瞬の空漠とした感覚に「しまったなー」と言ってしまいました。
何に動揺しているのか分からない。
もしかしてこの動揺って、
集中しているときにその作業(今ならブログを書くこと)から
気持ちが離れてしまったことに対して集中し直そうとする条件反射なのか?

集中の反対語を、動揺というんですか。
だけどそれだとピザ生地を丸めてるときとか皿洗いしてるときにも
独り言をいう意味が分からない。
だって別に集中したいと思ってないのに。
むしろ単純作業に飽きるから他のことを考えたい。

なんだかえらくややこしくなってきた。

フラッシュバックは単純作業のときに多いです。
記憶の中でいちばん鮮明な記憶は、失敗の記憶ですよね。
そう考えれば、
ぼーと浴室でシャンプーなんかしているときに
自分が思い出したくない記憶が脳裏に浮かんで「くそ!」と
反射的に大きな声で吠えてしまったりするんですけど、
納得できる気がしてきます。
居間でテレビを見ている妻が「どうしたの?何があったの?」
というんですけどぼくは「いや、なんもないよ」と苦笑いする。

表現とは記憶のことだというのがピカソの名言ですけど、
記憶とは失敗のことですね。
うまくいった記憶はあまり思い出せません。

よくよく思えば、ぼくはこの失敗という記憶にオープンです。
箱に詰めて押入れに放り込んでしまうこともなく、
いつでも眺めることができるように、
壁に画鋲で貼り付けてあってふとパソコンから目を離すと
周りは失敗をしている自分だらけなのが見える。
「なんでこんなことばっかりなんだ」と自分はいう。

動揺に強くありたいとぼくは望んでましたけど、
その特訓法がこの失敗の記憶を、
壁に画鋲で貼り付けておくことなんだという気がしてきた。
人間は無意識なる特訓を編みだすみたいです。

動揺しそうな場を避けがちのみなさん、
どうですかこの対処法。
色んなことに日々わざと動揺してみてください。
いざってとき、たとえば好みの異性が目の前に現れたとき、
動揺して口も聞けないなんてことがないようにしましょう。

この特訓の難点が一つあります、独り言が多くなることです。
くそっ!