2015年3月13日金曜日

タケノコ成長理論

来週から二週間アメリカに行ってきます。
その間〈石窯ピッツェリア・オーシャン〉はお休み、しません!
なんとぼくの師匠である長尾晃久ことアッキーが、
スペシャルメニューを用意して特別営業を行います。
詳しくはホームページのほうにアップしますのでご覧ください。

アメリカに行く目的の一つは家族に会いに行くことです。
カリフォルニアのサンタクルーズという海っぺたの小さな街です。
海っぺたの小さな街というところは寺部も同じです。
海の街から海の街へ行ってきます。
いつ行っても丁度良い気候で、
こんな過ごしやすい土地はなかなか無いと思います。

もう一つはラスベガスで行われる「Pizza Expo 2015」というイベントの
国際ピッツァ大会に出場してくることです。
ぼくにとっては去年日本で行われたナポリピッツァ職人選手権についで、
二度目の大会出場です。

このアメリカの「Pizza Expo」という大会には、
ピッツァ業界では有名な大須〈チェザリ〉の牧島さんも出場予定です。
牧島さんという人はナポリの大会で優勝して、
今では審査員もされていますし、
DVD付きの教本も出版しています。
ぼく自身もこの本からはかなり学ばせていただきました。

そんな横綱級の人ですから、
“同じ土俵で戦う”というイメージは捨てております。
それよりは落語みたいにトリと前座というイメージがいいかなと思ったんですけど、
これもやっぱりやめます。
落語の前座が面白かったという記憶はありませんからね。

それならフィギュアスケートというイメージはどうか。
若ければ華があるし、
ベテランであれば味がある。
うん、こういう、どっちにも点数が付くイメージがいいです、これですね。

オーシャンは幡豆という小さな港街にありますので、
世間の荒波に晒されることより、
強風による現実の波しぶきに店は晒されます。
鉄骨もすぐに錆びるし、ウッドデッキの劣化も早いです。

都市は景気次第で人の流れが変わりますけど、
港町は天気次第で人の流れが変わります。
オーシャンは雨だとヒマだし、天気が良ければ忙しいです。
こういう自然の影響をダイレクトに受けていると、
自然への感度は街にいるよりも敏感になる気がします。

だからこそ、
たまに世間の荒波に晒されたい気持ちになります。
料理は一人作業が多いので、
自己満足にも陥りやすいと思うのです。
そこでたまに大会のような大勢の前に出ると身の程が知れます。

こういう大会は年に一回ぐらいが丁度良いです。
じっと一人で一年ぐらい考えながらピザと取り組むと、
それなりに自分が作りたい理想形が見えてきます。
世間と孤独、ぼくはこれをタケノコ理論と名付けています。

平地で育つタケノコは斜面で育つタケノコよりも、
地上に早く出て太陽を浴びます。
それに対し斜面のタケノコはより長い時間地中に埋もれています。
平地のタケノコが陽の目を浴びすくすく伸びてスリム体型になる。
斜面のタケノコは背が伸びるよりも実が太くズングリ体型になる。

ぼくは、姿見た目はスリム体型になりたいですけど、
精神的にはズングリ体型でいきたいと思っております。
簡単にポキリと折れない仕事への揺るぎなさが欲しい。
そういう点において、
寺部という小さな街で人知れず仕事をしながら、
たまに人がたくさん集まる大会に参加することで
良いバランスが取れるんじゃないかという作戦です。

今日タケノコの初物を食べながらそんなタケノコ理論に思いを巡らしました。
美味しいですねータケノコ。
だけどちょっとタケノコの旬は短すぎです。

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