2015年2月24日火曜日

墜落する父と、翼を得た娘

「私が小さい時はパチンコとか競艇とか釣りばっかり出掛けてたのに、
今頃遅いっていう感じなんですよね。
だって今はもう友達もいるし、免許だって持ってるんですから。
誘われたって『予定あるし』って断りますよ」

僕はパパになったことはありません。
だけど、ピッツェリアのアルバイトで来てくれるサヨちゃんの話しを聞いていたら、
パパという存在にはこのような“取り返しのつかないな時期”があるのかと、
思わずピザ生地を伸ばす手も止まりました。
僕は「これは記憶しというたほうが良さそうだぞ」と直感したのです。
いつかパパになるときがあれば 必ず気を付けよう、そう胸に刻んでおきました。

パパと娘の関係性は、
娘に友達ができたり車の免許を取る以前に築かれるモノのようです。
まだ自由行動ができない娘は、むしろパパに頼らざるを得ない状況なのです。
「イオンに乗せて行って♡」
「迎えに来て♡」

この取り返しのつかない時期はパパにとっては落とし穴ですけど、
娘にとって免許を取ることや友達ができることは翼を得るのと同じことです。
ギリシャ神話では父であるダイダロスの警告を無視して、
翼を得た息子イカロスは墜落して死んでしまいます。
しかし話しが父と娘になると異なる物語が生まれるようです。
墜落するのは父で、
娘は自由に空へ飛び立ちます。

もしそこでパパがろくでもないハゼ釣りに出かけていたり、
ギャンブルにうつつを抜かしていたらどうなるでしょうか。
そこのパパであるあなた、
もう終わりです。
あなたはもう娘の彼氏のことで文句も言えず、
腕を組んでもらえることもなく、
父の日に手編みのマフラーをもらえるかもなんて期待は捨てた方がよいでしょう。

「お母さんとはよく一緒にご飯とか出かけるんですけどね。
だけどお父さんは何か買ってくれるっていうときだけ
釣られることにしてるんです」
アハハ、彼女は悪戯げに笑いました。
アハハ、僕も笑うしかありません。
サヨちゃんのパパはもう、財布としてしか機能していないのです。
お父さん、今、ツケが回っているようですよ。

一体いつまで娘のこの反撃が続くのか、見当も付きませんが、ご愁傷様です。
そして後世の、これから娘を持つかもしれない男性諸氏、教訓にしませう。

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