2015年2月4日水曜日

ハーブうなぎの挑戦

昨年の12月から養鰻場でバジル栽培を試していました。
11月にビニールハウスで芽を出して、
12月に芽を鉢に移植して養鰻場に運びました。

「うなぎ」という文字を見ると脳が勝手に反応して食欲が湧きます。
だけど、このうなぎが養殖と組み合わさると途端に食欲を失うものに変わります。

「うなぎの養殖」

ぼくがはじめてこの養鰻風景を見たのは小学生でも低学年の頃でした。
父親の友人にうなぎの養殖をしている人がいて、
ぼくらは家族で社会見学のつもりだったのか覚えがありませんけど
そのうなぎの養殖を見せてもらいに行くことになりました。
そのときの光景がいまだに目に焼き付いています。

ぼくが訪れた養鰻場は一色町にありました。
周囲は田んぼで
温室の扉を引く。
「ぶわーーーーーーーー」
と、生暖く生物の臭いを含んだ蒸気を全身に浴びる。
それから機械音と水がばしゃばしゃいう音がけたたましく響く。
扉を開けて温室にこもった蒸気が外に吹き出て、
視界が開けるとその蒸気がどこからやってきているのかが分かる。

うなぎのプールです。
うなぎの養殖は広い温室で行われる。
ぼくが見せてもらった温室の広さは小学校のプール4個分はあります。
しかもこれは稚魚を入れるための小さめのプールで、
この後成長したうなぎを移すために
隣接して更に大きな温室があります。
こっちは小さく見積もっても高校生のプール4個分はあります。

このプールを俯瞰すると「田」の字になっています。
このバッテンの上を人間が歩けるようになっていて、
四つのプールに餌を撒いたりします。
機械音は各プールの中央に水車のようなものがあって、
それがぐるぐると回転し水を対流させるようになっているのです。

小学生のプールでは水が茶色く濁っていて中に何がいるのか見えません。
しかし高校生のプールの方には茶色の水面が見えなくなりそうなぐらいの、
黒いぬめっとしたうなぎが何百匹、何千匹か?という単位で、
溢れてきそうなほど団子状になって暴れて絡みあっている。

一匹が水中に潜ろうとすると、
他の一匹が押し出されて水面にくねくねうねって出てくる。
そいつがまた水中に潜ろうとして、また一匹を押し出す。
それを何百匹何千匹という数のうなぎがやる光景は一度見たら忘れられない。

父親はこれを見てうなぎが食べられなくなった。
忘れられないけど、ぼくは食い意地が張っているせいで、
うな重を前にすると食欲が勝って都合の悪いことは一時的に記憶から消える。

20年前の社会見学以来、久しぶりに養鰻場に入った。
12月の上旬で、ぼくは覚悟して温室に入ったところ、
プールにはまだ水さえ張ってなかった。
稚魚がまだ届いてないそうです。

中旬に温度を入れたという連絡があり、ぼくはバジルの鉢を運び込んだ。
バジルは10度以下になると変色して枯死してしまう。
うなぎの温室は夜になっても20度を下回らないので、
これは最適な環境だと思いました。

ところが一月二月経っても苗はいっこうに育たない。
苗はだいたい5センチから10センチていどのものが10本ありました。
もうダメだ失敗だと思ってつい先日見に行ったら少し成長していた。
とはいっても、いちばん大きいもので20センチほどです。

これは失敗です。
三ヶ月かかっても収穫できなかったら冬が終わってしまいます。
何が原因なのか、湿気か?
ここの湿度はおそらく90%以上はあるでしょう。
温度が問題ないとしたら、この湿度が原因だろうと思われる。

秘密にしていたことを書くと、
ぼくはこのバジル栽培とうなぎの養殖の組み合わせで成功したら、
うなぎの餌にバジルを混ぜて「ハーブうなぎ」というブランドで
億万長者になる予定だった。

だけどもう諦めます。
誰か挑戦したい人がいたら譲ります。



0 件のコメント:

コメントを投稿