2015年1月20日火曜日

バラバニラアイスクリーム

安城の『仔馬』に久しぶりに行って、
バラアイスクリームというものがあることを始めて知りました。
さらにそのバラアイスクリームを乗せた、バラクリームソーダもあるらしい。
それを聞いてぼくはバラクリームソーダが食べたくなった(飲みたくなった?)。

今、無添加・無着色が浸透しつつある社会で
メロンソーダがいまだに生き残っている理由は一つだけではないでしょうか。
喫茶店に入るとついクリームソーダを頼みたくなってしまうから、という。
クリームソーダが無ければ、
チェリオのカラフルなソーダ群が淘汰されたように、
メロンソーダもとっくにお店から消えているはずです。

〈仔馬〉には秋葉本店と宮前店がある。
オーナーは兄妹である兄が秋葉本店を、宮前店を妹が仕切っているそうです。
秋葉本店はよく日光も入って明るい店なのに対し、
宮前店のほうは外壁がびっしり蔦で覆われていて昼間でも中は薄暗い。
電球のワット数もわざと低めで、電気を消したら真っ暗になるでしょうけど、
電気が付いていても暗いです。
明るい場所から玄関をくぐるとトンネルに入った瞬間のように、
一瞬視界を失います。

ぼくはこの宮前店の不思議な陰性の魅力に惹きつけられて、
こっちに行くことの方が多い。
このお店の特徴は、行く度に店内で変なアイテムを発見することです。
アンティークの小物類や家具、花瓶の花、時計。
こないだ見つけた一番変なものは、陶器のハットです。
白くてつばが広くピンクのリボンが付いた、
淑女が風の吹く丘で手で押さえるあの白いハットです。
その陶器でできた大きな白いハットがトイレの壁にかかっていたのです。
「被ってみたい」
と思いましたけど、壊したらいやなので触りませんでした。

ぼくは〈仔馬〉へ行く事前にバラクリームソーダの話しを聞いていたので、
席に座ってすぐ「クリームソーダと仔馬ランチを」と言って頼んだ。
バラクリームソーダが出てくるのを楽しみに待つ。
そしてクリームソーダが出てきた。
それは普通のクリームソーダだった。
なぜ? ぼくは情報の提供元である一緒に行った相手を問い詰めた。
「なぜバラじゃないのか?」
答えはメニュー表にあった。

・クリームソーダ
・バラクリームソーダ

値段の違いは忘れました。
「いくらでも構わない、金に糸目はつけないぞ、バラを持ってこい」
とは言ってませんけど、それぐらい強い覚悟持っていたのです。
だけどぼくの目の前にやってきたのは普通のクリームソーダでした。
戸惑いの中ランチのハンバーグが出てきて食べ始めたら、
クリームソーダのことは一旦頭から離れました。

食後、バラに対する執着心がまた湧いてきました。
しかし食後にコーヒーも飲んでいるのにクリームソーダはいらないと思っていると、
バラバニラアイスクリームがありました。
メニューをパッと早見しただけではブレてただのバニラアイスに見えるタイトルです。
これを注文して出てきたものは、まぎれもなくバラでした。
真っ白で大きく、バラ以上にバラに見えます。
花びらをすくって食べると、甘くて溶けます。アイスですから。
優雅な気分になりますね。


0 件のコメント:

コメントを投稿