2014年11月17日月曜日

ソーセージ・フェス

今までこんなに濃い顔のウーファーたちが集まったことはないです。
先週までうちにはアメリカ人のダラスが一人と、
フランス人が二人、
そしてぼくを合わせると男四人です。

男たちばかりで集まった会はアメリカで
“ソーセージ・フェス”と呼ばれるらしいです。
たとえば飲み会などで男たちばかり集まると
「おいこれじゃソーセージ・フェスじゃないか、誰か女を呼べよ!」
というふうに使われます。

で、うちの話しなんですけど、
いくら一軒家だからといって、
大人の男性が四人も集まるとこれまでに無い密度を感じます。
今まではだいたい三人の宿泊ゲストがいても、
その中にはいつも女性が混じっていました。

ダラスは前回ブログで書きましたけど、
おしゃべり好きで働かないカッコつけ屋の大学生です。
朝は遅刻してでも髪の毛を櫛でといて、
ぴっちりとワックスで横分けにするような男です。

フランス人の一人であるトーマスは一週間だけの滞在です。
三五歳の彼はボルドーで料理人をしています。
冬の間レストランが休みになるのを利用して日本旅行にきました。
ぼくがフランス人はみんなペシミスティックなのか?と聞くと、
「パリではそうかもしれないけど、
ボルドーではそんなことないね!」
と滑り台のような形をしたフランス特有の高い鼻の彼は陽気に言いました。

もう一人はフロリアンという名前のマリ系フランス人です。
ところでフランスの黒人を見るといつも、
アメリカ人のイカつくて大雑把さなのとは別物の、
気を配れる繊細なイメージがあります。

フロリアンもトーマスと同じように陽気で知的です。
彼は大学四年生で図書館にまつわる勉強をしたそうで、
こないだの9月に卒業したばかりです。
どこかの国で図書館の仕事をしようと考えているそうですけど、
まだ決めずに、
日本にいる彼女に会いに来ました。

南フランスのトゥールーズで彼は白人の彼女と同棲していて、
1年前から彼女が日本に語学教師として仕事に来ています。
彼らは8年間付き合っているのですけど、
フロリアンの愛は1℃たりとも冷めないらしく彼女のことが大好きです。
彼女は後半年もすればトゥールーズに戻る予定なのに、
フロリアンは我慢できず日本に来てしまいました。

彼にフランスに戻ったらもうちょっと彼女待っていなきゃねと言うと、
「そうなんだ、ほんとに寂しいよ……」
とほんとに切なく言うので、
彼らのピュアラブはホンモノだと思いました。

フロリアンとは本の話しを色々しました。
彼が一番好きな作家は村上龍だというので驚きました。
村上春樹好きのコロンビア人の次は
村上龍好きのフランス人です。
アメリカと日本のハーフであるぼくはこの二人の本を読んで、
読書が楽しいことだと知りました。
ぼくとフロリアンは『イン ザ・ミソスープ』がベストだ、
と意見が合致しました。

もう少したらカッコつけ屋のダラスが帰国し、
日本おたくのコロンビア人ピラールがお遍路巡りから帰ってきます。
フロリアンは年末までいます。
11月でウーファーの募集は打ち切っているので、
今年はもう誰も来ません。

結局今年何人来たのか計算してみると
男性が12名、女性が8名、計20名が来てくれました。
思い出すのに日記を見直さないといけませんでした。
ぼくはなるべく毎日日記を書くようにしています。
日記って書いているときは日々の当たり前のこと書いてるだけなんですけど、
いざ半年前の記録を見るとどれだけ自分が物事を忘れているのか知れます。

手帳にフレデリックが来ると書いてあって、
二週間ほど滞在したことが記してあるんですけど、
日記を見直すまで彼と何をしたかまったく思い出せませんでした。
ごめんフレディー。
君は穏やかで素朴で親切な青年だったね、日記にそうやって書いてある。

これはソーセージ・フェスの一場面です。
ぼくが作ったカレーライスを食べるときで、
フロリアンは腹が減ったと言って食パン二枚に白米を挟んで食べていました。


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