2014年8月11日月曜日

鼻をほじってください

レアが戻ってきました。
彼女はオーシャンに一ヶ月滞在して、
伊勢、奈良、京都を観光した後に、
神戸の農園でウーフをしていました。

「そこの農園は“Horrible!!”」だったと
レアは思い出すのも嫌だといったふうに言いました。
何がそんなにひどかったの?僕は聞きました。
「農園主は唖だったの。彼が優しい人だってことはその温かい眼差しからすぐに伝わったわ。
だけどそのワイフが“Evil”だったの!」

つまりそこの奥さんは伝統的な日本の習慣を守っている家だったのです。
少し前にレアのことをブログで書きましたけど、
現代ヨーロッパの女子大生レアと
日本の伝統的な習慣のある家において、
お互いは絶対にぶつかり合うS極N極なのです。

貞節、清楚、奥ゆかしさ、男尊女卑。
その全てでレアは真逆にあります。
下ネタ好き、ブラジャーを平気で風呂場に放っておく。
心の奥に秘めたる強さというよりは間違いだと思ったら徹底的に議論する。
皿洗いなどの家事も男女平等ですること。
これで旧日本式の家で対立せずに生活できるほうがおかしいのかもしれません。

とにかくレアが戻ってきました。
「鼻をほじってください」
と油性マジックで手書きされたリュックを背負って。
何で鼻をほじってくださいなのかと聞いたら、
日本語の勉強をしているときに一番ウケた言葉だったからと言いました。
どんな勉強をしたらそんな文脈が出てくるんだろう。

彼女は合計で五ヶ月日本に滞在して(残り十日ほど)、
ベルリンの大学生活に戻ります。
大学院まで生物学をみっちり勉強したいという彼女は
ドイツに一回戻って交換留学でまた日本に来る方法を考えるそうです。

日本の何がそんなに好きなの?と聞きました。行く先々ですぐもめるのに。
「日本人はドイツみたいにすぐケンカしないところが好き」と彼女は言いました。

ドイツでは例えば皿洗い一つでケンカになる、とレアは言いました。
「使った食器は自分で洗う」というルールがあったとしても、
「おれは洗わない」と宣言する人が出てくる。
「規則は守らなければいけない」と言っても
「洗うにしても自分のタイミングで洗う」と反論される。そしてケンカになる。

僕が、ドイツ人は規則に従うのが国民性だと思っていた、と言うと、
「自分の規則になっていないことには一切従わないわ。
だけど日本ではみんなこう言うの
『私が代わりに洗っといてあげる』
そういう優しさって素晴らしいわ!」

日本のテレビでは美味しそうな料理がたくさん出てきたり、
お笑い番組が多い。
だけどドイツでテレビを点ければどの番組でも激しい議論を戦わせてるの。
私は平和なほうが好き」

こないだレアは薬局でブリーチ剤を買ってきて、
髪の毛を金髪に脱色しました。
一ヶ月前にうちにいたときは「色が抜けてきた」と言って、
焦茶色に染めていたのに、
それが今回は脱色で金髪です。

レアの地毛は真っ金髪です。
それが嫌で三年間濃い色に染めていたのです。
だけど、すぐに髪の毛が伸びてきて、
金髪の根元を美容院で染めてもらうのはお金もかかるし
(プリン逆バージョン)、
手間がかかるからもういじるのはやめようと心変わりしたのです。
ドイツではカットと色染めで70ユーロぐらい。
日本の相場と同じぐらいですかね。

それなら今の茶色も勝手に落ちるまで放っておけば
手間がかからないんじゃないかな、
と僕は思ったですけど、
女性にとって髪の毛は大事な問題ですからね。
首を突っ込むことはしませんでした。

写真はレアが脱色する前の物です。
「鼻をほじってください」のリュックを背負って戻ってきたレア。


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