2014年6月10日火曜日

ドイツ人のシェアメイト

・レアが何かドイツ料理を作ってくれると言いました。

最初、僕はザワークラウトが食べてみたいと言ったんですけど、
レアは「あんな臭いものは食べれない。
おばあちゃんがザワークラウトを作る日は、
妹と外に逃げ出して、近くにピザを食べに行くの」
と渋い顔をするので、
「それじゃいつもママが作ってくれるものがいいな」
と僕は強要するのも悪いと思って話題を変えました。

結局彼女は“カクフェ プファ”を作ると言いました。
朝、昼、夜の時間に関係なくいつでも食べれて、
もっとも身近な家庭料理にレアはこれを思い浮かべるそうです。
カクフェ プファはおやきとチヂミとハッシュドポテトの親類です。

材料はこのようになってます。
①じゃがいも
②小麦粉
③卵
④ベーコン
⑤塩

シュレッダーでじゃがいもを細く削り、
以下の材料をすべて混ぜ合わせて、
油を敷いて熱したフライパンで薄くカリッと焼いて完成という料理です。
カクフェ プファの焼きたては外側が焦げでカリッと、
中はもっちりとした食感になっている。
おかずでもいけそうだし、主食でもいけそうです。

この日は晩ご飯に、
ビールを飲みながらカクフェ プファを食べましたけど、
酒のつまみにもなります。
そして、翌日に残ったものを朝に食べましたけど朝食でもいけます。

レアに「朝はいつもこれ食べるの?」と聞くと、
「朝ご飯はいつも食べない」と言いました。
朝食の席で僕はこのドイツ風おやきを4枚も5枚も食べている間に、
レアはずっとテーブルに立てた肘の上に頭を載せて、
フォークで一枚目のカクフェ プファをいじり回していました。

・レアは現在ベルリンの大学に通っていて、
同じ大学に通う男性二人とアパートをシェアしているそうです。
男と共同生活するのはどうなのかと聞くと、
「彼らは二人共ゲイで、
一人には彼氏がいるし、
そこら辺の女の子よりよっぽど繊細だから私は楽だわ」と言ってました。

僕の住処も一応シェアハウスみたいなもので、
オーシャンにウーフーとして手伝いに来てくれる人たちが
泊まれるようになってます。
それでも、ウーフーの方たちが滞在している期間よりは、
僕一人の期間のほうが多いので半シェアハウスです。

特にシェアハウス内のルールみたいなものもありませんけど、
参考に、何かシェアハウスのルールを設けたほうがいいかレアに聞いてみると、
「靴下をドアノブに引っ掛けとくのは大事だと思うわ」
と彼女は言いました。

これはホテルにある「起こさないでください」とか
「掃除をしてください」という掛け札と同じ役割を果たすもので、
「ただいまSEX中です」という意味を伝えるためのサインだそうです。
たぶんこれはSOXとSEXを掛けているんだと思います。

このSOXの使い方としては他に、
共同で利用する場所、例えばキッチンのテーブルの上に置いておけば、
「今夜は彼氏(彼女)と二人で過ごしたい」
というメッセージになります。

・こうやって話していると、
やっぱりヨーロッパは日本よりも性にオープンだなと思います。

レアに「日本人のここがおかしいと思うところはどんなところ?」と聞くと、
「誰もハグをしなくて、お辞儀ばっかりしてるから変だわ。
好きな相手にとか、仲良くなるためにとか、
ハグしたくならないの?」と言いました。

——ハグなんて家族でも恥ずかしくてほとんどしないよ。
日本育ちの僕は思わず腕を硬く組みました。

反対に「ドイツ人でおかしいと思うところはどんなところ?」と聞くと、
「ドイツ人の男の悪いところは体中触ってくるところ!」
と彼女は激しく首を振って言いました。
「すぐに胸とかおしりを触ってくるし、
抱きついてちょっかいかけてくるのよ!」

——そういうハグはダメなの?

「それとこれとは全然違うわ!
そういう触られ方はしたくないの」

ヨーロッパ人は性にオープンだけど、
その境界線がどの辺りなのか際どいところです。
「じゃドイツの女性でおかしいと思うところはどんなところ?」
と僕は再び質問しました。

彼女は目を伏せて、
ドイツ人らしく正確な答えを導き出すかのように考え、
そして一つ頷いてこう言いました。
「あまり無いわ、おかしいところなんて」

僕は「うっそだー!」と叫びそうになりましたけど、
その代わりにふむふむと相づちを打ちました。

世界中のどこの国にいっても女性におかしいところはなくて、
男はたいていおかしいんです。
そうやって考えれば女の人とケンカにならないことを僕は知ってます。
丁度今、高橋秀実の『男は邪魔!』という本を読んでましたから。

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