2014年4月29日火曜日

酒種酵母作り②

酒種酵母作りをはじめて10日間ぐらいが経ち、
第二段階に移動しました。。
前回は生米と水がはっきり分離していましたけど、
いまやもう液体なのか固形なのか混濁とした状態です。
麹菌が米を分解して、
日に日に液体の割合が多くなっています。



第二段階は中に沈めていた冷飯を取り出し、
漬けていた水を切って、
取り出した生米を炊きます。
それからそれらを再び混ぜ合わせて、
米麹を加えました。

漬けていた水には乳酸菌が取り込まれて酸っぱくなっています。
これが“菩提もと”です。
この菩提もとが麹菌を元気にさせる環境作りをしてくれるそうです。

写真は米麹を混ぜ合わせた翌日のものですけど、
もう、ぷちぷちと発酵しています。
サラシで巻いた蓋を取って耳を当てると
「ぷちぷち、ぷちぷち」という音が絶えずしています。

炭酸の「シュワシュワー」と弾ける音とはまた違って、
生きてる感のある音です(それはもちろん、菌が生きているんですけど)。
宮本さんはこの音が大好で、
「これはなんとも言えないセクシーな音だ」と言って、
一日中でも聞いていたいと瓶に耳を当ててうっとりしていました。
ここまでいくともう麹フェティシズムです。

米の表面を見ていると、
泡がポコリ、ポコリ、ポコリ、と立っています。
小さな小間切れのおならです。
そのおならが割れるたびに、
「芳香」とはこういう時に使う言葉だというような良い香りがします。

この芳香に似ているのは、
僕は「純トロ」だと思いました。
純度の高いトルエン99.9%のシンナー。
僕はシンナーをドラッグとして使ったことないですけど、
しばらく塗装屋で働いていたので匂いは分かります。
これは嗅ぎたくなる匂いだな、と当時思いました。

こう言うと「じゃ酒種はケミカル系なのか?」
ということになってしまいますけどそれとは違います。
人を誘惑する系の香りです。
この麹が発酵する香りは刺激臭ではなく、
宮本さんの言葉を借りればセクシー系な香りです。

音も香りもセクシー系です。
これはもう純トロというか、純エロです。

2014年4月21日月曜日

酒種酵母作り①

二日前から酒種酵母を作るための仕込みをしています。
今はピザ生地には「ホシノ丹沢酵母」を使っています。
温度管理さえしっかりすれば、
失敗もそんなにありません。

だけどここ最近思ってるのは、
小麦粉が知多産で地元の物だから、
酵母も地場の菌のほうが相性が良いんじゃないか、と。
それを試してみたくなりました。

元々、オーシャンでは宮本さんが稲麹を培養して、
味噌や醤油作りにも使っています。
この自前の麹があるんですから、
これを上手く使えたらいいなと思っています。

恥ずかしい話し、僕は酵母に詳しくありません。
ピザ生地を毎日発酵させていますけど、
試すのは水や粉の量を変えるぐらいです。
酵母は最初からずっと変えていません。

自家製の天然酵母は風味が良いとか、
インスタントイーストは発酵力が強いとか、
ナポリピッツァは伝統的にビール酵母を使ってきたとか、
そういう情報を知ることができても、
試したことはありません。

今まであんまり他の酵母を試そうとも思いませんでした。
だけど酒種酵母のことを知って、
「これはオーシャン内で宮本さんが開拓して、
地場がほとんど出来上がってる分野のことじゃないか」
と思いました。

僕は未開拓地帯を切り開くことは苦手ですけど、
道があれば率先して歩いて行けるほうです。
というか、そっちが普通ですか?
未知の世界を切り開くなんて難しいことです。

今ウチで泊まってるフレッドというアメリカ人は、
三ヶ月の日本巡りを終えて帰ったら、タンザニアに行く前に、
オレゴン州で“Trail construction”の仕事をすると言ってました。
ぬかるみを進み、草を掻き分け、木を切り倒す言葉通り道の開拓者です。
これは僕にはできません。
ヘビとかヒルがいる場所に近付く仕事は給料が高くても断ります。

ピッツェリアの石窯だって最初はパンを焼くように作られはじめたのを、
僕がピザを焼くと言ったので、
後から石窯を囲うために建物を建てました。
何で最初から自分で「石窯を作って欲しい!」と言わなかったのか。

去年の春に石窯が作られはじめたとき、
僕は自分がピザ職人になると思っていませんでした。
たぶん、
思っていませんでした。
無意識に石窯が欲しいと念じていたり、
絶対にピザじゃなければイヤだなんて素振りを見せたつもりもありません。

「石窯を活用しないともったいない」と思ったところで初めて、
ピザを焼くイメージがポツポツ湧いてきたような感じです。
だから同業種の職人なんかに会うと僕は
「何も知らなくてすいません」ということが色々ありました。

それと同じように今回も
「麹菌を活用しないともったいない」と思いはじめて、
酒種酵母を作ってみようと思いました。
「もったいない」が動機です。
もうちょっと人生を賭けた強い動機があると堂々とできるんですけどね。
自分のケチくささに悲しくなります。

すぐに売り物のピッツァとなるような話しではないです。
試作の酵母ができるのでさえ一ヶ月かかる予定ですから、
これを何回も繰り返せる自分の根気が続いて、
食べれるものができたらいいな、という弱気な計画です。

これが今の仕込み中の写真です。
冷飯・生米・水。
以上です。



これは乳酸菌を取り込んでいる段階です。
蓋には菌が通過できるようにサラシを使っています。
化学繊維や染料が使われたものはもしかしたら菌が嫌って、
近寄ってこないかもしれない可能性があるのでサラシです。

今僕は毎朝この冷飯をサラシに包んだものをモミモミと揉んでいます。
乳酸菌を取り込んで「菩提もと」を作る課程です。
宮本さんの指導のもと作業をしております。
一週間ほどでできそうです。

この後、この生米を炊いて米麹と合わせて、
また発酵させる予定です。
うまくいくといいなー。

2014年4月13日日曜日

控えめなフレディー

今週からオーシャンにはアメリカ人のウーフが来てます。
22歳のフレディーは西ワシントン大学を卒業したばかりで、
環境科学を学んでいたそうです。
来年タンザニアに環境活動の仕事に行くことが決まってます。
その前に農業を経験しておきたいということでやって来ました。

なぜ日本なのかと聞いたら
「高校生のとき日本語のクラスを取ったから、
完全に忘れる前に来たかった」
と言ってました。

三週間オーシャンの畑を手伝ってもらって、
その後、滋賀と長野の農園を巡って、
計三ヶ月日本に滞在する予定だそうです。

フレディーはがっしりとして背が高く、
グレーがかった金髪の白人ですけど、
押し出しの強いエゴの塊みたいなアメリカ人とは違います。
かなり控えめです。

ビールも僕が二本飲んでいる間に一本しか飲みませんし、
トーストも僕が二枚食べてるうちに一枚しか食べません。
詩を書くのが好きで、
箸を使うのが上手く(マイ箸を持っている)、
僕が汚した食器を放っておくのと違ってすぐに洗う(僕のも一緒に)。

朝のことです。
コーヒーを淹れるために台所に行くと、
フレディーは紅茶を飲んでいました(ウチに泊まっている)。
彼の鼻が黄色くなっていて、
ちょっとの間観察していたんですけど何だか分からなかったので、
「鼻に黄色いものが付いているよ」と言うと、
何て言ったと思いますか?

「外を散歩していたら花がたくさん咲いていて、
匂いを嗅いでたんだけど、
それで付いちゃったかな」
と照れ笑いを浮かべてその鼻に付いた黄色い花粉をぬぐって言いました。
何て心がきれいそうな男なんだ!

それと彼は現代の若者らしからず、
iPhoneもパソコンも電子機器の類を何も持ってきていません。
「フレディーはネットジャンキーじゃないんだ?」と聞くと、
「Addictedしないように、わざと持ってこなかった」と言いました。

その代わりに彼は、
Shusaku Endoの『Silence』と、
Yasunari Kawabataの『Snow Country』を持ってきました。
クラシック純文学です。

「文学を読めばその国のことが知れそうだと思って」と。
僕も同じ理由で去年、ベリーズに行く前に、
その国を舞台にした本を探して
『Belize』という英語の小説を買いました。

その本は結局英語を読むのが焦れったくなって、
2ページぐらいしか読まなかったですけど。
それでも、物語は良いです。
『地球の歩き方』みたいなガイドブックも良いですけど、
情報と物語の使い方を分けたいです。

ガイドブックはつまり地図で、
物語はコンパスだと僕は思ってます。
いや、物語が地図で、
ガイドブックがコンパスか?

まあ、どっちでもいいですけど、
でもセットで持っていたいです。

2014年4月6日日曜日

一針余分に縫っといてください(続き)

・前回記事にした『一針余分に縫っといてください」では、
二件のコメントと、
もう一件オーシャンの設計のYさんがお店に来てくれたときに
「私の友達もそう言って縫ってもらったわ」と実例が集まりました。

書き込んで頂いたほうの両方のコメントでは、
むしろ医者からの声掛けだそうです。
「多めに縫っとくね〜」
「きれいに縫っとかないと旦那さんに叱られる〜」
というふうに。

ジョークとしか思えなかったんですけど、
ホントの話しだったんですね。

これに対して男性陣の感想は、
「女性がそこまで狭さ広さを気にしてるとは思わなかった」
「自分(男)は相手のアソコをそこまで気にしていなかった」
「実際、現場に臨んでもサイズはそんなに定かではない」
という声が多数でした。

少なくとも、女性ほどは気にしていない。
男性が気にしているのは、
自分のものが大きいかどうか、ということのほうです。
つまりこういう結論を引き出せます
(別に研究じゃないので結論を引き出さなくてもいいんですけど)。

「男性も女性も自分のサイズにいまいち自信が持てていない」と。

そうか、僕たちはそんなにサイズを気にしなくてもよかったのか、
よかったよかった、
と不安を抱いている人は胸をなでおろしていいかもしれません。

・最近ブログのアップが一週間に一回ほどです。
こういう下ネタをブログにすると、
決まって社内でクレームを受けます。

「汚い」
「イメージが悪い」
「飲食店にそぐわない」
「週に一回なのに下ネタ?」
とか、そういうことを。

今回も二週続けてシモの話しなのできっとまた文句を言われます。
しかしポジティブなイメージだけを発信するのはウソだと思うので、
僕は社内の抵抗分子として、
爽やかなものの中のお下劣さ、
下品な話しの中の自然の摂理、
そういうものを探っていきたいと思います。

ただ下ネタが好きなだけじゃありません。
ほんとです。
いや、ほんとにほんとです。