2013年12月3日火曜日

きくや飯店の安定感

蒲郡の[きくや飯店]はすごいお店です。
ここの支那そばのスープは真っ黒なんですけど、
一口一口の味は軽くて、だけど懐も深い。
ボクサーでいうとノニート・ドネアです。
ズルズルッっとすすると、
麺と汁のワンツーパンチが口の中でしなる。
打撃を放つととサッと目の前から消えるように、
喉ゴシをぱしぱし打っては消えてしまう。
このお店は昭和の初めから続くそうで、
さすがにコンビネーションに安定感を感じます。

でも僕がもっとすごいと思うのは、
土日祝日休みで、
11時から3時までという営業時間です。
トヨタ系の仕事をしている人は
有給を取るか辞表を出すかしないと行けません。

でもさらにもっとすごいと思うのが、
このお店の人員構成です。
おばさん五人とおじさん一人。
はじめて来たとき「店員多いな!」と思った。
しかし僕の考えは浅かった。
これは完璧な人員配置だった。

支那そばを作る店主。
餃子と焼売を焼くおばさん。
注文を聞いたりお盆を運ぶおばさん。
他におばさん、おばさん、おばさん、と三人いたが、
みんなテキパキ動いていて、
とにかくおばさんがたくさんいたという印象を残す。
それぞれ手ぬぐいを頭に巻いていて、
似たようなエプロンを揃えていて、
なんだかおばさんにカッコよさを感じてしまう。

客も客で、
「この店に10年通ってるよ、
20年通ってるよ」
というような年配客が占めている。
おばあちゃんが一人で来ていたり、
作業員のおっさんがいたり、
その中に僕のような新参者がたまにいたりする。

オーシャンが今後どういう店になるか、
僕自身は見当がつかないですけど、
こういう仕事をする[きくや飯店]を僕は尊敬します。
僕自身も「変わらない仕事」をしたい。

だけど「変わらない仕事」に行きつくにはきっと、
それなりに変わっていかないといけないなと思うから、
どこら辺まで変わって、
どこら辺で変わらなくなるのか、
それがまだよく分からないです。


0 件のコメント:

コメントを投稿