2013年11月28日木曜日

すり鉢ペスト②

前に書いた『すり鉢ペスト』を読んでくれた方から、
「結局バジルソースはどっちの作り方がよかったのか?」
というメールを頂きました。
フードプロセッサーなら30秒、
すり鉢なら30分かかります。
その苦労が結果に伴うのかどうか。

僕がブログで書くことはだいたい
「こういうことをしている」ということを書いて、
結局どうなのか、ということはあまり書きません。
意識して書かないというわけではなく、
書くことを忘れてしまいます。

こういうジョークがあります。
「アメリカ人は設定した目標に達することを重要にする。
日本人は設定した目標に達するプロセスを重要にする。
ロシア人は設定した目標に達するプロセスで酒を飲むことを
重要にする」

僕はこれでいうと日本人的で、プロセスを書いたら、
目標に達しようとも達せずともビールか何かを飲んで
(ウォッカはあまり飲まない)
もうそのテーマは終了してしまいます。

バジルソースを作るだけ作ったら、
もう後は満足してしまう。
満足してしまうと葛藤もなくなります。
葛藤がないと文章が書けません。

今日のブログは、読んでくれた方から
「それで結局どうなのか?」
という促しを受けて、
「結局」の部分を書かない自分に葛藤を見つけて
「書き出したプロセス」から書いてる次第です。
ややこしい段階を踏んで申し訳ありません。

それで結局どうなのか。
すり鉢で作ったペストのほうが香りが強いです。
フープロに香りがないわけではありません。
ただ比べた場合、ごりごり潰したほうが香りが出ます。

味的に特別な違いは出ませんけど、
すり鉢の場合バジルや松の実が
細かくなったり大きめのが残ったりします。
なので一口ごとに異なる食感、テクスチャーを楽しめる。
(その点フープロは均一に出来上がる)

すり鉢で30分かける価値があるかどうかですけど、
この二つのペストを僕はピザとパスタで試しました。
ピザにすり鉢ペストはもったいないです。
バジルは熱を加える分香りが飛んでしまうので、
二つの違いが分からなくなります。

それに比べてパスタは、
作り方にもよるんですけど、
茹で上がったパスタをフライパンでオイルや具材とからめて、
ペストを最後の最後、
火を止めるか弱火にするかしてあまり熱を加えずに作ると、
バジルの良い香りが残ります。
皿にもって最後にチーズを削りかけると立ち上る湯気から、
ニンニク、バジル、チーズが混ざりあってこれはもう美味しいです。
スペシャルなパスタになります。

価値ということについては、
この30分に経済的価値はあまりなさそうです。
「むむむ、このペストはすり鉢を使ったな」
と唸る人は世の中少なそうです。

それよりも、
僕はこの30分には精神的リラックス効果、
という点に価値を見出しています。
ゴリゴリ、ゴリゴリ、という一定の動きは精神統一します。

それともう一つは、
手持ち無沙汰の人に仕事を与えるという価値があります。
たとえば家でご飯のパーティーとかやったりします。
そういうとき、
ホスト側がゲスト全員をもてなすという集まりではなくて、
友達とかもみんなで料理をするとき、
「とりあえずお前はこれを擦っとけ」
とすり鉢を渡して、仕事を供給することができます。

とかく仕事がない国の民衆は暴動を起こしがちですから、
どんな仕事でも仕事を作るということに、
このすり鉢ペストは役に立つと思います。

ということで、
みなさんも一度機会があったら試してみてください。
ちなみにペストは冷たくなっても美味しいです。
ショートパスタを普通に作って冷蔵庫に入れといて、
サラダパスタにしてもいいです。
ワインと合います。

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