Hさんは食べることが好きだと言う。
それに反して「晩ご飯は食べないようにしている」と言う。
Hさんに趣味は何かと聞くと、
「自分に課題を課すことかな」と言った。
男性にしては細いという以上に華奢で、
元テニスインストラクターだとは想像がつかない。
「食べることができない」という病気で
Hさんは仕事は辞めることになった。
食べることが好きなのに、
食べることができない。
欲望よりも自分で立てた課題を優先させてしまう。
「何か(課題や制限)に縛られず自由になりたい」とHさんは言う。
僕は思わず「やめればいいんじゃないですか?」
と言いたくなった。
自分に課題を課すことをやめれば楽になるのに。
でも家に帰ってよくよく考えると、
自分で立てた課題を棄てることは僕自身も簡単にできない、
と思い直しました。
課題に取り組んでいることこそ自分の存在証明だったり、
「自分に価値がある」と思える根拠だったりするので。
「自分の存在証明とか価値とかを頭で考えること自体が無駄」
と人に言われそうです。
だけどこれは僕にも分かりますけど、
自分で立てた課題を乗り越えたら闘ったりすることは、
喜びです。
それに、自分の課題と向き合って夢中になれるからこそ、
生活の中の色んな不安を忘れることもできる。
だからHさんの「食べることが好きだけど、
食べないことに決めた」という課題が棄てられないことに、
共感する部分があります。
ただHさんはひどいとき三〇キロ台まで体重が落ちて、
死にそうになったと言っていたので、
死んだら課題も元も子もなくなってしまうので、
死んじゃダメですね。
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