2013年10月18日金曜日

課題と自由

Hさんは食べることが好きだと言う。
それに反して「晩ご飯は食べないようにしている」と言う。
Hさんに趣味は何かと聞くと、
「自分に課題を課すことかな」と言った。

男性にしては細いという以上に華奢で、
元テニスインストラクターだとは想像がつかない。
「食べることができない」という病気で
Hさんは仕事は辞めることになった。

食べることが好きなのに、
食べることができない。
欲望よりも自分で立てた課題を優先させてしまう。

「何か(課題や制限)に縛られず自由になりたい」とHさんは言う。
僕は思わず「やめればいいんじゃないですか?」
と言いたくなった。
自分に課題を課すことをやめれば楽になるのに。

でも家に帰ってよくよく考えると、
自分で立てた課題を棄てることは僕自身も簡単にできない、
と思い直しました。
課題に取り組んでいることこそ自分の存在証明だったり、
「自分に価値がある」と思える根拠だったりするので。

「自分の存在証明とか価値とかを頭で考えること自体が無駄」
と人に言われそうです。

だけどこれは僕にも分かりますけど、
自分で立てた課題を乗り越えたら闘ったりすることは、
喜びです。
それに、自分の課題と向き合って夢中になれるからこそ、
生活の中の色んな不安を忘れることもできる。

だからHさんの「食べることが好きだけど、
食べないことに決めた」という課題が棄てられないことに、
共感する部分があります。

ただHさんはひどいとき三〇キロ台まで体重が落ちて、
死にそうになったと言っていたので、
死んだら課題も元も子もなくなってしまうので、
死んじゃダメですね。

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