2013年6月4日火曜日

情熱と冷笑

「人間は成長しない、太るだけだ」
「あら、哲学者なのね?」
「おれは太ってないぜ。全身岩のような筋肉だ。
この腕で相手の尻尾をねじ上げる私立探偵だ」
(『ディボース・ショウ』ガス・ペッチより)

「自分は成長できる」と夢を見れるとき、
何か新しいことをやってみようという気持ちになれる。
反対に、そう思うことがなかったら、
できないことを求めてジタバタせずに済む。

たとえば、僕がピザ職人なら、
自分よりピザ作りの上手い人を見て、
「自分はもっとうまくなってやろう」とか、
「この人にはできない技を習得しよう」とか、
何か変化を起こそうという気持ちになる。

それとは反対に、
自分には自分のペースがあって、
求めるものを手に入れに行こうとする前のめりさに
批判的になることもある。

たとえば僕が、恋をしてる人だったら、
恋心から普段以上の自分を演じようとする。
面白いことを言おうとしたり、
気の利いたとこを見せようとしたりする。
そういうのはよく「空回り」と言ったりする。

空回りをしているときは、
自分が能力以上のものを出そうとしている。
「今おれは良い感じだ」と勘違いしてしまう。
いつからおれはこんな細かいとこまで気が回るようになったんだ?
彼女は絶対おれに気があるぞ、などなど。

情熱と冷笑。
どっちかがあるときどっちかが無くなる。
辛い冷麺みたいに両方持ちたいです。
いちばんイヤなのは辛くないキムチみたいに、
両方無いときです。

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