2013年5月30日木曜日

一割コメディー

コーエン兄弟の『ミラーズ・クロッシング』は
マフィア映画だけあって、暴力シーンが多々あります。
でもこの映画はそれだけじゃなく、
ちょっとコメディーを挟んでくる。
「あれ? これは笑わそうとしているのか?」
と思ってしまうぐらいの微妙なコメディー加減です。
配分でいうと、
バイオレンス七割、恋愛二割、コメディー一割という感じで、
その背景にサスペンスが漂っている。

サスペンスといっても、
アガサ・クリスティーが書くような、
〈大きな謎〉を劇的に解明する感じではない。
むしろ〈小さな謎〉が段々積み重なっていって、
いつのまにか「この主人公は何がしたいんだ?」という
謎に包まれる。

主人公のトムは頭が切れる上に超クールであんまり喋らない。
かと思いきや計算が外れてボコボコにされる。
でも、最後はトムの計算通りだった。
もしかしたら、ただ運がよかっただけなのか。
変なサスペンスです。

コーエン映画のバイオレンスはただ残酷なだけではなく、
唐突感がある。
そしてオーバーリアクションで動きが緩慢です。
このスピード感のなさがいい。

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