2012年12月14日金曜日

西尾サスペンス

最近、金持ちのYさんが結婚しました。
Yさんは60歳手前でずっと独身でした。
僕は中学生ぐらいの頃から知ってますけど、
この人が結婚するなんて想像もしてませんでした。
なぜかというと、女の影がまったくなかったからです。
(まああったとしても僕が知りようもないんですけど)

とにかくめでたく結婚した、それも30歳年下の女性と。
「え、30歳年下ですか?」
思わず僕は聞き返しました。
「それは遺産目当てですか?」
とは聞けませんでした。

純情な恋愛なのか、
それとも相互納得の上で遺産を約束した結婚なのか。
ふつうに想像するなら、
相手は今頃その百発百中万馬券をいかに換金するか、
どうやってYさんを早く始末するかを考えているはずです。

もちろんYさんは周りからそういう警告を与えられても、
笑って相手にしません。
「ハハハ、まあウチのはかわいいもんで、
そんなことする計画性なんかないな」

ある日高級マンションの一室にゴキブリが出たというので、
Yさんは新妻からバルサンを焚いてほしいと言われたそうです。
そこで火災警報機が反応しないように、
Yさんは脚立を使って天井にビニールを巻いていたそうです。
丁度その真下に足で踏むタイプのバルサンを設置した新妻は、
なにも言わずにスイッチオン。
煙は勢いよく吹き出して、
脚立で作業中のYさんをもくもく包み込んだ。
「ゲホンゲホン、何をするんだよ」とYさん。
「ごめんなさーいよくわからなくてーウフフ」
「なんだーしょうがないやつだなーアッハッハー」
というやり取りがあったそうです。

またある日にはYさんが痩せた姿で現れました。
「どうしたんですかYさん?」
Yさんの新妻は料理が作れないそうで、
毎日ご飯はサラダだそうです。
「ウチのやつは健康に気を使ってんだよなーアッハッハー」

「・・・Yさん、それはもう計画がはじまってますよね!?」
毒を蓄積させつつ、
基礎体力を削っているのだ。
ドラマの『大奥』を見た僕は、
女の人がそういう計画を立てることを、
知っている!

ああ、
次はどんな方法で体力が奪われるんだろう。

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