最近の僕の趣味はよくブログでも旅行記のことを書いてますけど、
旅に関する哲学を集めることです。
柳田国男はこう書いてました。
「何かというとよく出あるくのは、単純なる好奇心というよりも、
今いっそう強い具体的な目的が、
知らず識らずの中に誘うているのではないか。
すなわち旅をすれば「人」を知るから、
しこうして「人」はいつでも我々にとって、興味深き題目であるから、
うっかりと引付けられるのではないだろうか」
※『青年と学問』
柳田国男の文章は漢字とひらがな使い方が独特で、
よく分からなくて、いつも眠くなります。
僕はだいたいどこかに出掛けても、
「人を知る」なんてことはあんまりありません。
旅というよりもいつも観光になってしまいますから、
名所を見るばっかりで、人を見ることを忘れてしまいます。
でもやっぱり後々の記憶になっても鮮やかに残るのは、
名所旧跡よりも、人のことです。
ロンドン・アイルランド間の夜行バスに乗ったことがあります。
片道70ユーロぐらいだったと思います。
ヴィクトリア駅からバスで2時間かけて港まで行き、
そのままフェリーに乗り込んで5時間。
フェリーを降りてコーク州までまた2時間の道のりでした。
できれば一回こっきりでいいな、と思ったんですけど、
往復で買ったので帰りもこれで戻りました。
乗客が僕以外ほとんどアイルランド人だったんですけど、
同じ英語なのに早口で、ほとんど会話が聞き取れない。
でも口が悪いことは分かる。
その瞬間だけ見たらケンカだと思うけど、
ずっとケンカ口調が続くので、それが普通なんだと分かる。
アイルランドの港に着いて街に向かっていたときのことです。
朝方なのでみんな寝ていたり、黙って朝日を見ていたりしました。
そこに、30代ぐらいの女の人が席から立って、
バスの後ろに付いているトイレに向かいながらこう言いました。
「Is the fucking toilet open?」
これも30代ぐらいの子供膝に寝かせているお母さんが言いました。
「Oh yah, It's fucking open」
みんな早口で口が悪いとは思っていたんですけど、
こんな寝ぼけ眼のときに、
それもこんな軽い会話のときにもファックを付けなきゃいけないのか、
と僕は唖然としました。
でも口が悪くても、性格が悪そうな人はいませんでした。
外国人の僕にはみんなそれと気付いて、
ゆっくりと丁寧に話しをしてくれました。
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