「次男で、西尾在住で、マスオさんオッケー?
完璧じゃん!」
と、Kちゃん。
Kちゃんは姉のフィアンセを真剣に探している。
姉はオフィスの仕事以外で外に出ることもなく、
男の気配をまった感じさせないまま三十路を過ぎたらしい。
「電話すれば、ぜったい捕まるもん」
Kちゃんは新婚で最近家を出たけど、
実家に電話すれば、姉はほぼ間違いなく家にいるらしい。
「誰かがお世話しなきゃ」
Kちゃんは言う。
ヒデ(未来のマスオ)は、
背が高いイケメンで、まじめな名鉄バスのドライバーです。
「完璧じゃん、言うことない!」
でもヒデは無口で根暗という社交性ゼロの人間で、
これまで僕を通して知り合った女の子1人しか付き合ったことがない。
「女心は分からんよ」僕は言う。
「うーん。でも、大丈夫。
だって次男で、西尾在住で、マスオさんオッケーなんだもん!」
ヒデは二十歳ぐらいのとき駅前で勧誘された新興宗教に入団して、
滝に打たれる本気の修行をして、
80万円の丸い石を買うという超無垢なスットコドッコイな男です。
「うーん・・・・」Kちゃんは言葉に詰まる。
「その後宗教は辞めたけど、
また駅前で声をかけられてNOVAをやりはじめたよ。
駅前に弱いんだよね、ヒデは」
「うーん、うーん」とKちゃんは言葉に詰まる。
「今の目標は、ホノルルマラソンで走ることだって」
「え?うそ?お姉ちゃんもホノルルで走りたいって言ってた!
それに次男で、西尾で、マスオさんオッケーなら・・・・。
やっぱり完璧!」
当人たちがいない話しは、盛り上がります。
「じゃじゃ、それじゃいっしんくん、
私の親戚に40歳を過ぎた人がいるんだけど、
その人に良い彼って誰かいないかな?」
Kちゃんみたいな子が一人いる家族は繁栄しそうです。
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