2012年4月13日金曜日

ヘビ屋(下の後半2/2)

「昔は子どもとかが青大将なんかを捕まえて、
持ってきたりするのがいたね。
まあそういうヘビは使えなんだけど、
せっかくきたんだからお小遣いぐらいはあげますよ。
500円とかね、ふふふ。

ここらへんで捕まるヘビで使えるのはマムシぐらいかな。
昔はハンターが定期的に持ってきたけど、
今はそういう専門の業者に注文しますよね。
もちろん生きた状態で届きますよ。

箱は作業部屋で開けます。
閉めきったところでやらないと、
どっか出てっちゃうことがありますから。

ヘビ漬けは外からの見栄えっていう部分もありますでね、
それが大きな仕事になるわけじゃないです。
生きたのを瓶に入れといてもすぐに弱ってしまうから、
維持するのも経費がかかります。
店で売れるのは、黒焼きと粉末。
粉末は時間が経って乾燥してきた黒焼きを加工しますから、
まずは黒焼きにしますね。

箱から出して糸で縛るんですよ(とぐろを巻いたような丸い形)。
咬まれたこと?ないない、一回もない。
知らない人だと怖がってシッポ掴もうとするでしょ?
そうすると、首が曲がるから手首を咬まれちゃう。
だからこう、頭のとこの、ちょっと下を掴まなきゃいけない。
やってみる?(笑)

最近は煙とか嫌がられるし、臭いもすごいよね。
窯焼きはもうできない。
ほんとは窯焼きのほうが良い品質になるんだけどね、
やっぱり焼き上がりが早いから。
でも今は業務用のレンジですよ。
時間はかかるけど、煙はないし臭いもだいぶ抑えれる。

ただ、正直なとこ輸入もんにほとんど変わってきてますね。
中国で加工したやつのがぜんぜん安いから。
うちみたいに今でも自分のところで黒焼きやってる店は、
全国でも珍しいと思いますよ。

黒焼きも粉末も、使い方は人それぞれです。
食べものいれる人もいれば、
飲み物にいれる人もいる、お茶とかね。
一回試してみたら?」

だいたいインタビューはこんなところです。
上下で短く書こうと思ったら、
色々書きたくなってしまいました。
これでほんとに完です。