2012年3月27日火曜日

オオイヌノフグリのトラウマ

りょうちゃんは子どもの頃、
小さなかわいい花を見つけて、その名前を調べてみようと思いました。
ぶ厚い植物事典を引いてみると、そのかわいい花は「オオイヌノフグリ」だということが発覚しました。
雑草なんですけど、コバルトブルーの花を咲かせて、
メルヘンな気分になってもおかしくない植物です。

オーシャンではスイーツにこの小さな花を添えたりしてます。
飾り付けには色々つかいます。
ミントやマジョラムなどのハーブ、
野菜の頭につく花、
名前がわからないけど蔦みたいな葉っぱなどなど、
季節のデザインを楽しんでもらおうという魂胆です。

そんな色んな飾り付けのなかに、
「オオイヌノフグリ」が入っていました。
このフグリが何かを先に言っておきますと、
これは金玉という意味です。

その昔まだあどけなく、ピュアな世界にいたりょうちゃんは、
植物事典でこの事実に突き当たり、
しばらく立ち直れないほどのショックを受けたと言っています。
小さくてかわいいコバルトブルーの花が、
実は犬の金玉だった。

その結果りょうちゃんは、
この花を触ることができなくなってしまった。
メルヘンな世界はがらがらと崩れてしまったのです。

幾年かが過ぎてりょうちゃんは、
厨房でスイーツが飾り立てられているプレートをふと見た。
そこにかの「オオイヌノフグリ」がいた。
かわいく、コバルトブルーの花が、ちょこんと乗っている。
「フグリだ!」

「フグリって○○だけど、いいのかな?」
りょうちゃんは顔を赤らめて言った。
しかし言った相手がわるかった。
「笑えるー。でもかわいいねー」
ヤンキー名残りを漂わせるナオミは答えた。

そのあとりょうちゃんは、
「ハーブテーを1つお願いしまーす」
とおばあちゃんみたいなオーダーをしていた。